雨谷の日和

過去19年で2,600を超えるアニメの第1話だけは見続けた僕のお勧めアニメがハズレなはずがない

UFJと三菱東京と三井住友と

いやはや、今回の合併がらみのドタバタ、他人事では無くなってきました。ウチの会社、住友直系なので、もしもUFJと合併とか本当になったら、UFJ系の同じ業種の会社と合併するということも有り得るんですよ。三井との合併のときもそうだったしなぁ。
ちょっと、これまでの経緯を私なりに整理しておきます。


○過去の経緯
バブル崩壊金融危機により金融再編が進み、4大メガバンクが誕生。


 東京銀行三菱銀行東京三菱銀行
 さくら(三井)銀行+住友銀行三井住友銀行
 第一勧業銀行+富士銀行+日本興業銀行みずほ銀行
 三和銀行東海銀行UFJ銀行


不良債権処理を名目に、公的資金の投入などの金融政策が実施される。


 東京三菱銀行
 もともと経営体質が健全で、公的資金も受け取らず、その後も堅実に推移。


 三井住友銀行
 経営的には不要だった公的資金を率先して受け取ってみたり、最初は持ち株会社じゃなかったのに方針を転換したり、不良債権処理を一気に進めるのにわかしお銀行を存続会社として再合併をしてみたりと、なりふり構わない方策を駆使して今に至る。


 みずほ銀行
 当初から旧系列での派閥争いで経営の統合が遅れ、その影響もあってシステムのトラブルなどを引き起こしてしまったりしたが、その後関連企業からの大規模増資に成功、国内最大の規模を活かして徐々に実力を発揮しつつある。


 UFJ銀行:
 もともと不良債権の多さが指摘されていたが、24時間ATM稼動を実現させるなどの顧客本位な姿勢が功を奏し、経営は順調であった。


○今回のドタバタ


金融庁は政府の金融改革の成果の一つとして4大メガバンクのうちの最低一つを、実質国有化する意向を持っていた(らしい)。
・候補となったのは経営統合の遅れていたみずほ銀行か、不良債権処理の遅れていたUFJ銀行。
・しかし昨年来、金融庁の監査に対してUFJ銀行が非協力的だったことから、UFJ銀行について非常に厳しい監査が実施される。
・その結果、UFJ銀行は赤字に転落。経営危機に。
・実質国有化を回避するため、UFJ銀行は傘下のUFJ信託銀行を住友信託銀行三井住友銀行の傘下ではなく、提携関係にある)に売却することを検討、話し合いを進める。
・その後、UFJ信託銀行の売却だけでは経営再建は難しいと考えたUFJ銀行は、東京三菱銀行との合併を申し入れする。
・その際、UFJ信託銀行も三菱信託銀行と合併するのが良いと判断、住友信託銀行への売却を白紙撤回する。
住友信託銀行は、UFJ信託銀行との交渉について独占権があることを根拠に、UFJ銀行と東京三菱銀行の合併交渉の差し止めの仮処分を東京地裁に申し立て、仮処分が決定される。
・これによりUFJ銀行と東京三菱銀行UFJ信託銀行を含めた形での合併交渉を中断せざるを得なくなる。(仮処分については不服を高等裁判所に申し立てしているが、決着には時間が掛かるため、現時点では仮処分に従うしかない)
・ここで、三井住友銀行UFJ銀行との合併を申し入れ。


いやはや、もうね、三井住友銀行の体当たりギャグには笑いました。
UFJ銀行と三井住友銀行、もともとの三和銀行住友銀行がいずれも関西系の銀行で、中小企業融資に強いという同じような特徴があったわけで、今回のUFJ+三井住友という組み合わせは、UFJ+東京三菱という組み合わせに比べると、合併効果という面ではかなり見劣りします。
要するに、UFJ側としては三井住友と組む理由はもともと薄いわけで。
三井住友側としては、望み薄を承知でダメもとな行動に出たとかそういう感じです。
100兆円規模のギャグ、なんともスケールの大きい冗談ですね。


まあ、落としどころとしては「1、UFJから住友信託に契約違反の賠償金を支払い和解」「2、東京三菱は改めてUFJとの合併を進める」といったところでしょうけども。
三井住友のギャグが実現してしまったら「1、UFJ信託と住友信託は予定通り合併」「2、三井住友とUFJが新たに合併」ということになりますね。
一番有りそうに無いのが「1、UFJ信託と住友信託は予定通り合併」「2、東京三菱は改めて、UFJ信託無しでのUFJとの合併を進める」でしょうか。ただ、信託銀行というのは、顧客がすごく優良先なので、そこを抜きにした合併というのは東京三菱にとってはリスクが大きすぎるような気もするわけです。UFJ不良債権を抱え込むだけというのはいかにも東京三菱が嫌がりそうな展開です。


これは銀行の特色もあるんですが、東京三菱はかなり渋い銀行です。貸し渋りという言葉はこの銀行にこそ相応しいと言っても良いくらいです。経営指標が健全なのも、渋ちんだからであって、決して他の銀行よりも経営努力がずば抜けているとかそういうことでは無いです。まあ、当たり前ですが。
逆に、UFJの方は不良債権の多さからも分かるように、結構リスクの大きいところにでも貸してみたりするような銀行です。
三井住友(特に住友)も結構リスクの高い融資をしたりするので、関西系の銀行というのはそういうものなのかも知れません。ただ、住友は貸し剥がしという言葉のぴったり来るような鬼銀行なので、そこら辺の方針の違いが現時点での不良債権の多さに現れているのだとは思います。


個人的には、UFJは今後も存続してもらいたいなぁとは思っています。ATM24時間稼動とか、結構色々とチャレンジを成功させてますし、不良債権の多さも景気回復を見込んでの英断だったという見方も可能だからです。(不良債権は景気が回復すればそのまま優良資産に転じる可能性もあるので、そこら辺の見極めは個々の銀行の方針によって異なるわけで、不良債権の保有量については別に正解とかそういうものがあるわけではない。無ければ良いというものでもない。不良債権が無いということは、その銀行が全くリスクを負っていないというだけの事で、保守的な判断をする銀行だということ)
まあでも、一連の動きを見る限りだと、UFJの政府筋への対応は確かに不味かったようなので、今回のような事態は仕方ないのかも知れませんが。
それにしても、東京三菱との合併というのは思い切ったなぁと思います。不利な条件を呑まされるのは目に見えているし、管理職クラスはみんなリストラを覚悟するというのに等しいですから。
そこらへんは、三井住友と合併しても事情は同じだと思いますけども。


しかしもしも本当にUFJと三井住友が合併したらウチとかどうなるのかなぁ。また色々変わるんだろうなぁ。面倒くさいなぁ。