雨谷の日和

過去20年で2,700を超えるアニメの第1話だけは見続けた僕のお勧めアニメがハズレなはずがない

アニメ感想「キャロル&チューズデイ」(ボンズ)

フジTV(水) 24:55

オリジナル企画。音楽。

作画は水準を大きくクリア、細やかな所作と美麗な背景、飽きさせないカット割りと、パーフェクトな画面でした。贅沢だなぁ。

音楽はクリアで丁寧な作り。しっとりとした場面にはしっとりと、明るい場面にはポップな曲調という基本を押さえつつ、しかも劇中BGMはAIが作っているという設定に合わせて違和感のある雑さを入れてあったり。出色なのは主人公2人の初セッション、何もないところからメロディがだんだんと繋がり、そして歌詞に至るその過程を音だけで表現するとか、まじパねぇことしてます。これは監督のセンスですね。すごい。

演出、ということで作画と音楽に120%盛り込まれていて、過剰な何かは必要ないのですが、場面のつなぎとか色合いの変え方とか、そもそもの演出は全てちゃんとしています。見ていて安定感がある。

シナリオ、基本を押さえた良脚本だと思います。ナレーションで未来を暗示させる点は、やや減点ですが。

[結論]

音楽というものに向き合う作品なのでしょうか。遠い未来の火星、そこでのエンターテインメントは全てAIが作ったものを合理的なプロデュースで流行にし、利益が生まれていく。アーティストはAIと合理性を包み隠すためのマリオネットを求められるだけの存在と成り下がっている。芸術はどこに。一方で、町外れの片隅で出会った少女たちは何もないところから音楽を紡ぎ始める。いやー。これ、アニメ作品としての完成度の高さもさることながら、お話そのものも期待感が凄いですね。しかもこれだけの導入をたったの30分でやり切ってしまうとか。これ、2クールらしいんですけど、この先どこまで描くつもりなのかむしろ逆にそこが心配になります。ナベシンを信じるしかないのか。ボンズさすがなのか。

オススメです。