持つべきものは友、実に人生の97%に渡る期間のある程度の感覚を共有した知人というものはもはや家族同然という気もしないではないが、彼のおかげで東のエデンの劇場版をようやく視聴することができました。ありがとう。
さて、東のエデンは2009年4月期のノイタミナ枠のアニメ作品で、放送開始当初の個人的評価は高かったものの、最終的にはザムドよりもやや下というところに落ち着いた奴です(それでも2009年のアニメ作品の個人的総合順位は4位で、かなり高い方ですけども)。当時の感想を引用してみましょう。
アニメ作品としては実に良く出来ていて、シナリオも平均点よりは評価しています。が、やはり、社会問題を取り扱っている風体を装うのであればもうちょっと掘り下げというか、見識を示して欲しいところです。全裸ニート2万人直列処理でミサイル撃墜方法の集合知探索とか、現実感無さ杉にも程がある。ああ、あと、下ネタ大杉自重したまえよ。映画版は多分見に行かないけど、TV放送お願いします。
…ということで、結局劇場版は観に行かず(私生活の都合で、家族サービス以外の映画鑑賞は5年ほど行ってないですからね)、DVD版をようやく見た、ということになります。
以下、感想。
- アニメ作品としては良く出来ています。作画は綺麗ですし、動画も適切でした。音楽はTV放送当時の雰囲気そのままで、手堅い印象ですね。音の当て方も丁寧です。
- ただ、劇場版は音量の上下レンジが広くなるためか、キャラの音声が弱めで、ぼそぼそ喋っていいる部分は聞き取りづらかったです。特に、この作品は携帯電話の音声の加工感を大事にする傾向があるので、聞き取りづらいところが多めでした。しかも、台詞の中身が重要な作品なので余計に気になるんですよね…。
- 演出、劇場版を意識したのか、劇場版としてのお約束的なシーンがちらほら挿入してありました。ファンサービスという意味合いになるのだとは思いますが、演出と捉えた場合にはやや冗長です。ここら辺はサマーウォーズとかのときにも似たような感覚があったので、もしかすると日本アニメ映画界とかの縛りでもあるんでしょうかね。ただ、エヴァンゲリオンの劇場版にはそういった冗長さは無いので、造り手次第の部分だとは思います。
- シナリオは相変わらず平均点を上回っていると思います。アニメのオリジナル作品でここまできちんと企画に筋が通っているのは、素晴らしいと思います。ただ、やっぱり掘り下げはもう少し欲しかったかな、と思います。Mr.OUTSIDE やタキザワ君の思想といったものについて、特に破綻は無いのですが、敵方(No.1やNo.2)の国家像とかがチャチ過ぎてイマイチ社会風刺モノとしては物足りない感じです。敵は強大で完璧であればあるほど、物語としては面白い、ということで。
- 下ネタは無かったかな。
全体としての評価はTV版終了時とあまり変わりありません。ただ、ひとつの世界観として完結したことは、素直に凄いことであると思います。関係者、スタッフには「良い作品をありがとう」という気持ちでいっぱいです。
今後も、こういったアニメオリジナル作品が楽しめると良いのですが……アニメ業界の金回りはあまりよろしく無いようで、先々諸々心配ですが。